なんの知識もなくこのシンガポール映画のチラシを手に取った方は、どんな映画だと思われるでしょうか。浅草サンバカーニバル? 美川憲一と小林幸子のような衣装対決? はたまたドラッグクイーン? 違うと言えば違うし、近からず遠からじ。。。
東南アジア育ちの私にとっては肌で馴染んだものがあり、たまらない懐かしさを感じるのですが、これって一般的にはどうなの。。。? でもベタな東南アジアなようで、監督のセンスのよさが端々に伺えます。
しかしながらこれは派手狙いではなく、監督のシンガポールを、自分のルーツを愛する気持ちが昇華された作品です。そして歌のバトルの舞台となる歌台(ゲータイ)は、そもそも旧暦七月の「ハングリー・ゴースト・フェスティバル」に先祖の霊のご機嫌を損なわないように行われる余興。日本のお盆とルーツは同じですが、霊の呪いを避けるべく、シンガポールでは今でも風習が守られているようです:旧暦七月には旅行、水泳、引越、借金の回収はするべからず、等。
ロイストン・タンと言えば受賞歴の多いアート系の短編作家であり、15歳の少年たちの現実をありのまま描写した『15』(未公開)で は<従順で健全な国民育成に不適切と見られる>27シーンを検閲局にカットされた反逆児。。。かと思いきや、私はこの度監督の通訳をする機会 を得て、期待を裏切る穏和な人柄に驚きました。 エリートになってなんぼ、そんな島国社会の中で、数字も運動も苦手な絵ばっかり書いていた小学生時代、教師たちにもさじを投げられていたらしい。彼の作品 を理解できずとも、ずっと彼を支えてくれた母親。今回はそんな母親が泣いて笑える映画を撮りたい、そして失われてしまう前に言葉と音楽を記録する気持ちも 込めてこの映画を撮ったという監督。 シンガポールは映画における英語と北京語以外の言語に規制があるが、この映画は監督が家庭で話している福建語が8割近くを占めている。監督曰く、「方言を 使ったからって脅かされるものは何もない」。それどころか親を、ルーツを、そしてシンガポール人のアイデンティティの大切さを訴える、ある意味国のお墨付 きをもらえそうな映画に思える。もちろん監督にはこれからも反骨精神を持って変えるべき状況はまだまだあるでしょう。シンガポールも満を持して?面白く なってきたようでこれからが楽しみ。
社会背景を踏まえずとも歌と衣装(監督自身がデザイン!)、パパイヤとドリアンのシスターズ・バトル、そして人情にホロリとしたり、盛りだくさんな作品です。このトロピカルな時期にご賞味あれ!


















少林サッカーに、今度はバスケット・ボール。そろそろオリンピックでもカンフー絡みの競技が出てもよさそうな気がしますが、反則規定の線引きがしにくいのかも。。。
チェン・ボーリン演じるバスケ部キャプテンがかっこいい。 日本でのマネジメントは終了したとのことですが、これからも映画に出続けて欲しいものです。 シャーリーン・チョイも雰囲気に合った役でかわいい。 武術学校の師匠にはン・マンタの顔も。そしてやはり重鎮ながら軽いノリで締めてくれるのがエリック・ツァン。 最初から彼を設定して書かれたのかと思われる役柄で、見せてくれます。 この映画のシージエのように、ジェイにはこれからも軽々と色々なハードルを越えていって欲しい。 そして愛あるスタッフにずっと恵まれて欲しいと思うのでした。
ジェイ・チョウ、初監督作品。なるほど。。。彼の美意識がよく表れている。今までの彼のCDカバーも彼のデザインにも相通じる、キーワードはヨーロッパ、ショパン。。。? 映画のジェイ君はなかなかのナルシスト振りを発揮してくれていますが、ピアノが題材のせいか自然に見られます。ピアノ・バトルのシーン、悪友たちとの絡み、ライブにダンス・パーティ、そんな青春映画のお約束もありな、共感出来る仕上がりです。 小道具や学校の制服も行き届いていておしゃれ。ここまでジェイ・ワールドが展開されているというのは、優れたスタッフに支えられ、またスタッフもジェイのためにいいものを作りたいというチーム・ワークの賜物でしょう。
映画は後半から謎解きの様相を帯びてきて、ちょっと怖いくらいでした。ジェイの意図がどこにあるのか。一番の秘密はジェイの意図かもしれない。原題が『不能説的・秘密』だけに、秘密は言えないよ、ということかもしれないけれど。 全然似ていないながら、『頭文字D』以来なぜかジェイの父親役がしっくりきつつあるアンソニー・ウォン。国内外あまりに多くの作品に出ていながら日本で公開される作品が少なくて残念ですが、今度はオダギリ・ジョーの父親になりました。ジャ・ジャンクー作品の撮影監督としても知られる香港出身のユー・リクウァイ監督作『蕩冦/プラスティック・シティ』(ブラジル、中国、香港、日本合作)で日系ブラジル人親子を演じているとのこと。こちらは今年のベネチア映画祭のコンペ部門に選出されています。 
初めて幼稚園へ行った日を覚えていますか。私はわんわん泣いて、母の手を離そうとしませんでした。幼稚園や保育園は子供にとって初めての社会生活の場。人 間形成の第一歩。 映画の舞台は「全託」と言われる寄宿幼稚園。親の共働きが当然の中国では全託小学校もある。全託だと起床就寝時間も徹底していて子供に規則正しい生活が身 に付く上、多くの習い事の選択もあるため親も安心だとか。 高校から寄宿学校だった私でさえ、2年くらいは絶えずホームシックだったけど、親離れには丁度いい時期だった。しかし幼稚園からとは早過ぎないか。北京に 住む中国人との間に子供がいる外国人の友は、「子供には絶対中国の教育は受けさせない」と、高くても外国系学校に通わせている。確かにこの映画で描かれて いるような幼稚園だったら親としては情緒教育面に不安があるでしょう。
作家ワン・シュオに原作を贈られてから完成に6年をかけた本作。「まるで地雷原のようにルールが多い」中国の検閲制度という制約の中で、したたかに挑戦し続けるチャン監 督のひとつの答えがここにあります。「現在の中国では、私は直接の手法で社会問題を具体化することができない。だから私は子供の小さい世界に助けを借りる ことしかできず、今日の社会を比喩している。私は幼稚園の寓話ストーリーが大人社会でもつうようすることを願う。私はここで皆さんが集団と個人との矛盾し た関係を見られること、また個人と栄誉の錯誤を見つけることを望む。『小さな赤い花』に出現するいくつかの問題はとても現実的な意味を持っていて、私はこの値打ちのある討論を永遠にし続けたい。」 





