Photo (C)Miho Kakuta昨年の東京フィルメックスでかかった『Exiled 放・逐』(原題)の配給が決まり、一年後に『エグザイル/絆』としてめでたく公開となりました。
ジョニー・トー監督ファンも、今作が初めての方も堪能いただきたいと思います。
先月のフィルメックス紹介で触れたように、フランシス・ン(呉鎮宇)はちょっととぼけたようでやるせない姿、奇人変人も演じさせるとこれまたはまる三枚目振りが魅力ですが、『ザ・ミッション/非情の掟』(99)では決まってました。
フランシス、実はかっこいい。
初のトー監督作品出演、そして台湾金馬賞最優秀男優賞受賞。
この作品でトー映画ファンになった私ですが、スタイリッシュとは言えあの香港調タンゴのような耳を離れないテーマ音楽などまだスキがありました。
フランシス自身もその後も大陸の連ドラなどで、それはないだろうというような髪型やファッションで登場するので安心させられていた。。。ところが『エグザイル/絆』、遊び心があるストーリー運びながらも様式美を湛えた極めてスタイリッシュな仕上がり。
舞台であるマカオのロケーションやディテールへのこだわりも心憎い。
さぞ入念なリハーサルを要したのでは?
(C)2006 Media Asia Films (BVI) Ltd. All Rights Reserved.驚いたのがアンソニー・ウォン、フランシス両氏が放つオーラに当てられっぱなしだった来日記者会見でのアンソニーの発言。
「脚本どころかストーリーも役の説明もなかった。
(他の3人に)今日なにやるの、と聞かれるのがつらかった。
ポスターにも使われているシーンの採石場は2階建てくらいの高さで、駆け下りる直前どうするって聞かれて、イメージとしてはマルボロのCM風に(あのテーマ曲をハミングしながら)って指示を出した」。
その日にやることを聞かされ毎日びっくりの連続、もう何があっても驚かない、とか。なぜアンソニーが助監督的役割を果たしたのかの問いにフランシスは「他の人は監督に聞く勇気がないし、アンソニーは教えたがるタイプだから聞くと喜んでくれるんだ」。
(C)2006 Media Asia Films (BVI) Ltd. All Rights Reserved.記者会見ではまるで漫才のようで、二人で裏話を披露してくれました。
①寒いときの撮影では、フランシスが羊肉しゃぶしゃぶと中国ソーセージで皆をもてなした。
②ラム・シュは赤いパンツで危ない撮影シーンも凌げると占い師に言われ愛用。あるとき撮影中に骨折した。
その日は赤いパンツを履いていなかった。
③ロイ・チョンには『カンフーハッスル』の妻役を演じたユン・チウのあだ名がついた。
くわえタバコにカーラーを巻いたままうろうろしていたから。
④ニック・チョンは階上から投げられたり、あわや火葬されるところを生き延びた。
◎空き時間の過ごし方・役割分担:
●アンソニー:
おいしい精進料理店や、珍しい広東料理店案内。
●ロイ:
カラオケ屋の予約を取る。
●ラム・シュ:
翌日仕事があるかの確認。
●フランシス:
カジノでブラブラ。
(C)2006 Media Asia Films (BVI) Ltd. All Rights Reserved.インの役者四人が同じなので、どうしても『ザ・ミッション/非情の掟』を引きずってしまいますが、ここまでスキがないとどうなのよ、と聞くと「監督からは一言、『ザ・ミッション/非情の掟』の続編にしたい。
アクション・シーンで意味もなくゆっくり歩くシーンが多いが、『ザ・ミッション/非情の掟』の歩き方が香港モデルなら、『エグザイル/絆』は国際的モデル、グッチやゴルチェ(のショー)だと言われた」とフランシス。
トー監督自身、「『エレクション』2作が苦しかったから、この映画は苦労して撮りたくなかった。
でないと、映画を愛せなくなりそうだった」と語っているように、今作は時にどうすれば楽に撮れるかを考え、撮影中に「眠いから帰って寝る」なんてこともあったとか。
香港映画としては異例の長い撮影。
フランシスは「香港の黒社会映画を支える俳優4人が9ヶ月の撮影期間拘束されたことは、香港市民にとって大変辛い時期だった」と、笑い事ではない話も。
(C)2006 Media Asia Films (BVI) Ltd. All Rights Reserved.ジョニー・トー映画とは昨年の東京国際映画祭で『マッド探偵』上映時の司会を担当した際にお会いしました。
普段緊張はしない私ですが、この時だけは冷や汗ものでした。
壇上ではちょいワルおやじ風だった監督、アテンドの方によると、それまでにこやかだったのが、劇場に着くなりサングラスをかけて俺様モードに入ったとのこと(ちなみに記者会見では「ラム・シュの役はトー監督の分身」という話も)。
トー監督の新作は現在フランスから30年来の人気を誇るロック歌手、ジョニー・アリディを迎えて撮影中。
熱望したアラン・ドロンには出演を断られてしまったようですが、オーランド・ブルームとも撮るらしいですね。
ファンとしてはいつまでも香港にこだわって撮って欲しいと願いますが、進化するジョニー・トーを見守りましょう。
「機会があったら、この(『エグザイル/絆』)チームで10年後に老人版を撮りたい」って監督、10年後で老人だなんてまだまだですよ。
これから10年毎にずーっと撮ってもらえると、こっちも老後の楽しみができます。

















アンソニー・ウォン特集上映と聞いて、まずいったいどの作品が、そして何本かかるのだろうかと思いました。
『イザベラ』の監督はパン・ホーチョン。
『イザベラ』によって「第2のウォン・カーウァイ」と評され、ベルリン国際映画祭のコンペティション部門にも出品、音楽賞(ピーター・カム)を受賞。
舞台は『エグザイル/絆』同様マカオ。イザベラ・リョン自身マカオの出身で、この難しい役も、父親と幼くして別れたという実体験があるからこそ痛々しい感覚を演じきれたのかもしれません。






