中国語教室 ハンズアカデミー 東京・渋谷・神田|2011年12月 公開中国映画情報

2011年12月 公開中国映画情報

 

『中国インディペンデント映画祭2011』

こちらのサイトをご覧いただいてもお分かりのように、今年も多くの中国映画が日本で公開されています。2008年に北京でオリンピックが開催された際の公開景気(という言葉は筆者の創造ですが)で盛り上がり、以降も公開は続いています。しかしその多くが有名監督やスター俳優の出演作で、小品はほとんどありません。

日本の映画祭でも多くの中国のインディペンデント(自主製作)映画が紹介されるようになりましたが、今年で3回目の開催となる中国インディペンデント映画祭は、地道に注目作を紹介してきました。映画祭も大小ありますが、作品選定、監督や関係者とのやり取り、資金調達ほか運営から雑務までを、発起人で主催者の中山大樹氏ほぼ一人で切り盛りする体制で行ってきました。その経緯や背景は、こちらのインタビューでも語られています。

「この映画祭も経済的や技術的な点で、上映素材がデジタルになったからできたんだと思います。どこまで自分でやれるのかってことで、すごく作り手とも共感できる、一体感があるんですね。監督たちは親身になって応援してくれるし、本当に一緒にいろんなところでしょっちゅう会って、喋ったり酒呑んだりしてる関係だから、身内みたいに思ってもらってるというか。だから東京に呼んでさえもらえれば、あるいは上映さえしてくれればいいよって、上映料も要求しないんです。今回も「お金が足りなくてチケット代とか全額払えないんだけど」って言ったら、多少自腹でもかまわないって言ってくれたり。この前もシュー・トンがメールで「この東京の中国インディペンデント映画祭は、身内だと思ってるから」とメールがあって。たぶん境遇が、作ることと上映することの大変さが似てるんでしょうね。彼ら監督たちに支えられてるイベントだと感じます。」

筆者が運営をしているSintokシンガポール映画祭(2012年に再度開催予定)の立ち上げにも、中山さんに参加してもらい乗り切れました。主催者が個人レベルで監督や関係者を知っているということは、作品や背景に対する造詣が深くなり、個人的なつながりの一端を観客も共有出来る映画祭であるとも言えますが、体力や資金の限界で、映画製作者と映画祭が共倒れしてしまっては元も子もありません。中国インディペンデント映画祭では、個人がスポンサーとなって映画祭を支援するサポーター制度があります。こういった関わりも、映画を応援し、映画祭を一歩踏み込んで楽しむきっかけにもなります。

以下、映画祭のプレスリリースより:
中国でいうインディペンデント映画には、独自に制作するという意味以外に、検閲によらない自由な表現をするという意味があります。 劇場公開されるすべての映画は撮影前から検閲を受ける制度になっており、その政治的制約のために映画で描かれることが真実の中国の姿とは異なることも少なくありません。 それに対し、インディペンデント映画は、なんら制限を受けずに自由な手段で表現された映画です。その多くは作家独自の視点でリアルな中国を描いており、低予算ながらも、高い表現力と力強いメッセージ性を持った優れた作品として、限られた国内上映のみならず、海外映画祭などでも高い評価を受けています。そんな中国のインディペンデント映画を紹介すべく、本映画祭は2008年に始まり、2009年12月には第2回を開催、今回が第3回となります。

中国の成長に合わせるかのように、映画祭も回を追うごとに進化してきました。今回は作品数も最多の10本、そしてすべての作品の監督がゲストとして参加する予定です(一部インターネットでの参加も有り)。 中国でのインディペンデント映画を取り巻く状況も少しずつ変化を見せており、これまでのような完全に自己資金で製作するものから、 ある程度の出資をうけて製作される作品へと変わってきています。それも、海外のファンドばかりでなく、中国国内からも資金が集まるようになってきました。 とはいえ中国国内の環境は依然として厳しく、上映する機会が非常に少ないうえ、特に昨年から今年にかけては政府が民間の映画祭を中止させるなど、圧力が高まってもいます。 しかし、こうしたインディペンデント映画だからこそ、激動する現代中国社会で生きている人々の不安感や、庶民のしたたかさが生々しく描かれています。 特に今回は、地方政府のトップに密着取材した『書記』や、経済発展のための犠牲を強いられる村人を撮った『天から落ちてきた!』、 社会の下層と呼ばれる人々のたくましさを描いた『占い師』など、今の中国を象徴するような人々を撮った優れたドキュメンタリーが集まっています。また、中国初のインディペンデント長編アニメーション 『ピアシング』など、話題作も多数登場。商業映画からは知ることのできない、素顔の中国をうかがうことができます。 また、今回は監督の来日の他にも、ゲストとして初期の中国インディペンデント映画を代表するジャ・ジャンクー監督の作品にいつも出演している俳優の王宏偉(ワン・ホンウェイ)も参加し、トークイベント を行います(12月4日)。

◎作品紹介
<フィクション>

『花嫁』新娘/THE BRIDE 2009年/102分
あらすじ:長江のほとりの町で暮らす、何をするにも一緒な中年おやじ四人組。彼らはいずれも円満とは言いがたい家庭生活をおくっている。そのうちの一人、妻に死なれたチーさんのために、彼らは嫁探しを始める。ただ、彼らには人に言えないたくらみがあった。哀愁ただよう間抜けな男たちをシュールでユーモラスに描いた、ベテラン監督ならではの味のある一本。
■ 監督:章明(チャン・ミン)
重慶市巫山県出身。96年にデビュー作『沈む街』がベルリン国際映画祭で紹介されると、その年の数十カ国の映画祭で上映され、多数の賞を受けた。現在は北京電影学院の教員として多くの監督を育成しながら、脚本家や監督として活躍している。代表作は他に『週末の出来事』(01)、『結果』(05)など。

『冬に生まれて』二冬/Er Dong 2008年/150分
プサン国際映画祭 特別賞
あらすじ:喧嘩ばかりしている19才のアルトンに手を焼いた母親は、彼を教会の学校に預ける。だが退屈な教会が耐えられず、彼は同じ学校の女の子と駆け落ちをする。工場や炭鉱などでわずかな稼ぎを得ながら、ようやく自分たちの生活をみつけた彼らだったが、やがて彼女の妊娠が発覚し……。『牛乳先生』で脚光を浴びた監督が、ふたたび山西を舞台に描く青春ドラマ。
■ 監督:楊瑾(ヤン・ジン)
1982年山西省生まれ。山西電影学校、北京師範大学で映画を学ぶ。現在もっとも注目される若手作家の一人。撮影や編集として多くの作品に関わってもいる。現在はロカルノ国際映画祭などから資金提供を受けた、長編3作目を制作中。

『歓楽のポエム』尋歓作楽/The High Life 2010年/93分

香港国際映画祭 国際批評家連盟賞 デジタル部門銀賞
マンハイム・ハイデルベルク国際映画祭 ファスビンダー賞
ナント三大陸映画祭コンペ部門出品 ほか
あらすじ:ニセの職業斡旋所を営むペテン師の男は、都会に出てきた田舎者を騙して金を稼ぐ毎日。恋人に街を出ようと誘われても相手にせず、床屋で働く若い女にうつつを抜かしている。男はやがて逮捕され、下品な詩を作る警察官と出会う。この警察官の趣味は、嫌がる容疑者たちに無理やり下品な詩を読ませることだった。
ドキュメンタリー出身の監督が、欲望渦巻く街・広州を舞台に描いた劇映画第1作。
■監督:趙大勇(チャオ・ダーヨン)
1970年遼寧省撫順市生まれ。美大で油絵を学び画家として暮らしていたが、2001年からインディペンデント・ドキュメンタリー映画の制作を開始。『南京路』(07)、『ゴーストタウン』(08)など発表し、国際的に高く評価されている。現在は2作目のフィクションを準備中

『独身男』光棍儿/Single Man 2010年/94分
東京フィルメックス 審査員特別賞
あらすじ:中国北部の辺鄙な農村に暮らす、年老いた独身男たちの物語。若い頃に恋人と結婚できなかった楊は、年老いた今でも村長の妻となったその女性と密かに通じている。村長の妻は村のほかの老人たちとも関係をもち、村のバランスはいびつに保たれていた。だが、楊が若い女を嫁に買ったことから、村のバランスが壊れ始める。未だ前近代的な中国農村の猥雑な実態を痛快に描いたエンターテインメント。(※協力 東京フィルメックス)
■ 監督:郝杰(ハオ・ジエ)
1981年河北省生まれ。2005年に北京電影学院監督科を卒業。この作品は初監督作品で、自分の故郷をモデルにし、実際の村人を使って現地で撮影されている。

<アニメーション>

『ピアシングⅠ』刺痛我/PiercingⅠ 2009年/74分

シネマ・デジタル・ソウル 緑カメレオン賞
カスティロ・アニメ映画祭(伊) 社会賞
アジア太平洋映画祭(豪)最優秀アニメ賞 他

あらすじ:スーパーでは万引き犯あつかいされて暴行を受け、勤めていた工場は倒産し、失意のうちに田舎に帰ることにしたチャン。駅へと向かう途中、交通事故で意識不明になった老婆を助け、病院へ連れて行く。しかし、あろうことか彼自身が事故を起こした犯人に疑われ、警察署へ連行されてしまう。中国初のインディペンデント長編アニメとして話題の本作がいよいよ日本に上陸。

■ 監督:劉健(リュウ・ジェン)
1969年江蘇省生まれ。南京芸術学院では中国画を専攻。その後アニメ製作を始め、フォン・シャオガンの『ハッピー・ヒューネラル』のアニメパートなどに参加。2007年からは自らのスタジオを立ち上げ、映画製作に取り組んでいる。本作が初の長編作品。

<ドキュメンタリー>

『天から落ちてきた!』天降/Falling from the Sky 2009年/124分

あらすじ:人工衛星の打ち上げが盛んな中国。西昌衛星発射センターから上がるロケットは毎回残骸を地上に落とす必要があり、その落下地点に湖南省綏寧県を選んでいる。そのため、綏寧県の人々は打ち上げのたびに落下物の恐怖に晒されており、過去には犠牲者をだしたことも。発展のために犠牲はやむを得ないという役人、打ち上げのたびに避難する農民、そんな村人たちの様子をカメラは丁寧に写し撮る。
■ 監督:張賛波(チャン・ザンボー)
1970年湖南省生まれ。2005年北京電影学院大学院修士課程終了。北京電影学院では『花嫁』の章明から指導を受けていた。これが初のドキュメンタリー作品。

『恋曲(こいうた)』恋曲/A Song of Love, Maybe  2010年/114分
あらすじ:カラオケ屋で働いているホエズが、あるときカメラの前で泣いて語った。恋人が実は既婚者らしい、自分は騙されていたと。そこから順調だった彼女の恋は一転、不倫と修羅場の泥沼に。そしてそんな二人はいつも歌と共にあった。ひとつのラブストーリーとしてだけでなく、そこから現代中国の人間模様が透けて見える、ドラマ以上にドラマチックな恋愛ドキュメント。
■ 監督:張賛波(チャン・ザンボー)
1970年湖南省生まれ。2005年北京電影学院大学院修士課程終了。これが『天から落ちてきた!』に次ぐ2本目のドキュメンタリー作品。常に湖南省で作品を撮っており、現在は長期間かけて次の作品を撮影中。

『占い師』算命/Fortune Teller 2009年/129分

香港華語ドキュメンタリー映画祭 銀賞 中国ドキュメンタリー交流週 審査員賞
ロッテルダム国際映画祭出品 ほか
あらすじ:体に障害を持つ厲百程は、体と脳に障害を持つ妻とともに、路上で占い師をして生計を立てている。彼の客は主に場末の娼婦たちである。厳しい現実の中でも、彼らは笑顔を絶やさず、そして常にしたたかだ。中国の底辺に生きる愛すべき人々を見つめる徐童監督が長期取材した、厚くて暖かいヒューマン・ドキュメンタリー。
■ 監督:徐童(シュー・トン)
1965年北京市生まれ。中国伝媒大学卒業。かつてはスチールカメラマンをする傍ら、小説を発表していた。デビュー作『収穫』(08)が世界で評価され、ドキュメンタリー作家に転向。本作が2本目である。3作目『老唐頭』も今年完成し、各国の映画祭で好評を得ている。

『ゴーストタウン』廃城/Ghost Town 2008年/122分
トリノ国際映画祭 エルサレム国際映画祭 ほか
あらすじ:雲南省の北西部の山中にある、政府によってうち捨てられたゴーストタウンと、そこに勝手に住み着いている少数民族の人々の日常。宣教師父子の衝突や想いが語られる「神の御言葉」、分かれて村を去る男女を記録した「記憶」、気ままに生きる孤児の生活を追った「少年」の3部構成。大自然に抱かれた不思議な町から、人間の本質が見えてくる。
■ 監督:趙大勇(チャオ・ダーヨン)
1970年遼寧省撫順市生まれ。美大で油絵を学び画家として暮らしていたが、2001年からドキュメンタリー映画の制作を開始。本作は『南京路』につぐ2作目。現在はドキュメンタリーのみならず、フィクションや実験映画なども制作し、活躍の幅を広げている。

『書記』書記/The Transition Period 2009年/104分
あらすじ:中国の省や自治区に置かれ、全国で1500以上ある県。その県において県長より高い地位にあるのが共産党県委員の書記である。この映画は、河南省にある固始県で区長から書記まで11年務めた人物の、任期終了直前の3ヶ月間を追った密着ドキュメントである。書記の知られざる実態を通じて、現代中国の抱える深刻な問題が浮き彫りになる。なお、この映画の撮影後、この書記は汚職で逮捕されている。
■ 監督:周浩(チョウ・ハオ)
1968年重慶市生まれ。新華社や南方週末で記者をしていた経験を持つ。現在はドキュメンタリー映画の製作会社を広州に構え、コンスタントに作品を撮り続けている。代表作は『厚街(原題)』(05)『高三』(07)など。

 

『運命の子』

司馬遷 『史記』 に記される名作であり、2600年もの永きに渡って語り継がれ、
京劇としても高い人気を博す「趙氏孤児」を完全初映画化。
中国の歴史書の雛型として、その歴史的・学術的重要性が認められている司馬遷の『史記』。「趙氏孤児」の物語は、中国古代・春秋時代に実際に起こった歴史的事件を背景に、『史記・趙世家』に記される。後に、雑劇、京劇、新劇など、時代を越え、さまざまな形式で繰り返し舞台化され、さらには国を越え、ヨーロッパでも上演されるほどの名作となり、今なお高い人気を博している。本作は、その物語を現代にも通じる普遍的な人間ドラマとして再構築。命を支え、つなぐ最高の感動作に仕上げられた。

チェン・カイコーと言えば、中国語映画として初のカンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞した『さらば、わが愛  覇王別姫』(93)などで、中国映画を見ない人にも知られている監督である。長編第11作『花の生涯~梅蘭芳~』(08)では実在した京劇俳優を主人公に、芸術の世界と私生活、そして歴史に翻弄される人生の葛藤が描かれましたが、『運命の子』でも葛藤が全編を貫きます。

今まで何度も語られている「趙氏孤児」の物語の初の映像化。その理由としてチェン監督は、ここ最近経済発展目覚ましい中国だが、文化面はどうなのか。今の若い人たちは中国の歴史をどれだけ理解しているのかということにかねてから非常に興味を持っており、中国は新しい文化においてはずっと啓蒙状態にあると思うが、では伝統文化をどのように見ているのか、というのが出発点のようです。監督はさらに「伝統的なこの物語において、主人公である医者の程嬰(テイエイ)はずっと肯定的に描かれてきました。それはすなわち自ら自分の子供を犠牲にして他人の子供を救ったからです。私はこの物語を映画化する時に、二つの問題について新しい解釈を試みてみました。一つは本当に人は自分の子供を自発的に犠牲にできるのか、そういうことは本当に信じられるのかということです。そしてもう一つは、救った子供に結局は復讐で人を殺させるのであればそもそもどうして命を救ったのか、という問題です。そういう点から主人公に対して私なりの解釈を施しました。それは比較的合理性のある解釈だと思いますし、人間的な解釈になっていると思います。それが、今の時代になぜこのような物語を撮ったのかという理由になっていると思います。」

<物語>
今から約2600年前の中国、晋の国。敵対する武官の謀略により、趙氏は一族300人を皆殺しにされるが、生まれたばかりの男の赤子だけ、母である妃の機転で難を逃れた。「この子が大きくなっても、仇が誰なのか教えないで」出産に立ち会った医師に最後の言葉を残し、妃は自害。医師は、趙氏の根絶やしを図る武官から赤子を守ろうと奔走するが、その子の命と引きかえに、彼自身の子を殺されてしまう。さらには愛する妻までも…。武官への復讐を誓った医師は、幾多の犠牲のうえに生き延びた孤児を引きとり、武官の門客となった。何も知らない武官は趙氏最後の子を溺愛し、何も知らない孤児は医師を「父さん」、武官を「父上」と呼び慕うようになる。それが、医師の狙いだった。武官の孤児に対する愛が深くなればなるほど、孤児から受ける復讐のダメージも深くなる。やがて15年の歳月が経ち、二人の父に育てられた運命の子が、すべてを知る時がやってくる。

本作の英語のタイトルは”Sacrifice”=犠牲である。趙氏の跡取りを守るべく妃・母の荘姫は自害して犠牲に、程嬰の実の子も趙氏の跡取りと引き換えに犠牲に。程嬰の妻は子供を守ろうとして犠牲に。そして趙氏に雇われた医師であったというだけで妻と子供を殺され、復讐することだけを生きる望みとし、そのために趙氏の跡取りを育てた程嬰も犠牲者である。しかし何よりの犠牲者は、趙氏の血を引くというだけで復讐の運命を背負い、道具にされ育った趙氏の孤児:運命の子・程勃(ていぼつ)である。

子供と動物には優れた役者もかなわないと言いますが、子供が鍵となる作品だけに、子役が素晴らしい。幼年期の程勃を演じるウィリアム・ワンは、実は日本育ちの中国人で、英語の学校に通っているので中国語も日本語も十分に堪能ではないそうです。たまたま東京で彼と会った時に、その天真爛漫さに惹かれ、大胆にも演技の経験のないこの役に起用したとのこと。「なかなか素晴らしい演技をしてくれて、グォ・ヨウとワン・シュエチーという二人の主役は中国では本当に名優なのですが、“彼と共演すると勝てないよ”と言っていました。」
15歳の程勃を演じるチャオ・ウェンハオは、96年生まれの15歳。中国人民解放軍芸術学院舞踏専攻で、映画出演は本作が初めて。すでに歌手としてデビューしており、中国のジャスティン・ビーバーになれそうな雰囲気です。

ほかのキャストも豪華です。「グォ・ヨウ(程嬰)とは『さらば、わが愛 覇王別姫』以来です。『覇王別姫』ではチャン・フォンイー(公孫)も一緒でしたね。二人ともものすごい数のファンがいます。グォ・ヨウは6億人のファンがいると言われています。そしてワン・シュエチー(屠岸賈)は私のデビュー作『黄色い大地』(84)以来の付き合いで『花の生涯~梅蘭芳~』でも一緒に仕事をしました。彼は『梅蘭芳』の演技が中国だけでなく香港や台湾でも絶賛され、たくさんの賞を受賞しました。そしてもう一度彼らと仕事をする機会が持てたことは監督として大変うれしいことです。」『孫文の義士団』(09)でも優れた演技を見せたワン・シュエチーは、近年増々引っ張りだこですが、もう一度『黄色い大地』を見たくなります。最近、中国の女優は彼女しかいないのではないかと思うほど立て続けに出演作のあるファン・ビンビン(『孫文の義士団』、『新少林寺』)に関しては、「彼女にはこう話しました「力いっぱい演じるな、静かに演じてほしい。その静けさの中にこそ力強さがあるんだ」と。彼女はその通りに演じてくれました。ずっと長いこと映画を撮りつづけていますが、近年ますます感じることは、静かな演技の中にこそ人に訴える力がある、ということです。」

そして本作は、復讐に血塗られた背景がありつつも、父子の関係を描く温かみのある作品でもある。グォ・ヨウのシングル・ファザー振りはほのぼのとしており、強面のワン・シュエチーも子煩悩な顔を見せる。本作には隠れた注目ポイントがある。殺された皇帝の次に即位する皇帝役の子役として、チャン監督の実の息子が出演しているのである。主役を演じさせるほど親バカではないにせよ、あまり賢くなさそうな役を演じさせているのはご謙遜か。記者会見で「あまり言いたくはありませんが、あの役は私の息子が演じています。見た目はまあまあじゃないでしょうか」と語った時の監督の照れた感じが微笑ましたかった。
チャン監督自身も映画監督の息子。文革時代に下放された監督とは違い、何不自由なく育っているような雰囲気を漂わせているチャン・ジュニア、これからどう成長していくのだろうか。

協力:宣伝 グアパ・グアポ

ご意見・ご希望などございましたら下記までお願いします。
*返事をお送りしない場合がございますことをご了承下さい。

松下由美・・・・東南アジアとヨーロッパに長く滞在。
映画祭・映画イベントの司会・英語通訳や映画撮影の製作を担当している。
アート、インディペンデント系、アジア作品を多く担当し、中国語圏作品好きも高じて中国へ短期留学経験あり。
Sintok シンガポール映画祭実行委員。
URL:http://www.sintok.org/
MAIL:chinesefilms{at}mail.goo.ne.jp

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